「乃が美」の店舗数減少に見る高級食パン市場の変化

乃が美の店舗数減少 話題

2022年12月に文春オンラインは、高級食パン「乃が美」のフランチャイズ運営が困難に直面していると報じました。

かつての全盛期から明らかに店舗数が減少し、「あれ、ここにあった乃が美がなくなってる?」と思うことが増えました。

実際、自宅近くのスーパーにも設置されていた乃が美が今では見当たりません。

乃が美は、Yahoo!検索大賞の「食品部門賞」を三年連続で受賞しており、高級食パンブームをリードしてきた存在です。

しかし、こうした状況を背景に、同店を含む多くの高級食パン専門店が苦境に立たされています。

高級食パン専門店「乃が美」の挑戦と市場の変動

セブンイレブンが「セブンプレミアム」として高級食パンを発売すると、これが話題に。

その流れで「乃が美」も大阪上本町に店を構え、始めは価格が高いとして売れ行きが鈍かったものの、次第に評判を呼び、2018年には売上げ100億円、全国100店舗を数えるまでに。その成功を受け、多くの高級食パン専門店が次々と登場しました。

しかし、2022年12月の報道を機に、乃が美をはじめ高級食パン店が次々と閉店。値段が影響しているのかもしれませんが、その理由を探ります。

価格の壁

高級食パンが流行った一因は、その独特なしっとりとした食感や甘みでしょう。

しかし、一斤150円の一般的な食パンに対し、乃が美の食パンは432円、他の高級店では450円前後となっており、この価格差が日常的な購入を妨げている可能性があります。

ネット上では「150円の食パンにバターとジャムを塗った方が美味しい」という意見も散見されます。

飽和状態

高級食パンはその味わいで一時は注目を集めましたが、毎日同じ食品を食べるには飽きが来るのは自然のこと。

また、一般のパンと比較しても遜色ない味がする場合が多いため、次第に人々の関心は薄れがちです。

市場の過飽和

乃が美の成功を受けて、同様の店舗が続々と出店。これにより、高級食パン専門店間での競争が激化し、売上げは分散。

さらに、高級食パンが企業などへの手土産として不向きであることも影響して、市場は更に飽和状態に。

これが閉店ラッシュの一因となっています。

高級食パン専門店の売上減少の背後にある事情

高級食パン専門店が苦境に立たされている原因は、製品の高価格や味への飽きが挙げられます。

また、同様の専門店が過剰に増えている状況も影響しています。

2022年12月には、文春オンラインが「高級食パンブランド『乃が美』のフランチャイズが困難に直面」と報道し、事態の深刻さが浮かび上がりました。

フランチャイズの影響力

乃が美の店舗数及び売上増加の一因は、そのフランチャイズ制度にあります。

文春オンラインによる報道では、乃が美と契約を結んだフランチャイズ店は売上の10%をロイヤリティとして支払っています。

このロイヤリティが全国の加盟店から集められるため、乃が美は食パン販売だけでなく、別の収益路線をも確保しています。

フランチャイズ契約の定義

「フランチャイズ」は、本部と加盟店との間で結ばれる契約のことを指します。

加盟することにより、加盟店は本部のブランド名や経営ノウハウを利用できるようになります。

例えば、乃が美の場合、本部がフランチャイズを通じて店舗数を増やし、ブランドの食パンを広めることが可能です。

加盟店は本部から食パン製造の技術や経営の知識を学び、独自の店舗を構えることができます。

フランチャイズは再現性が高いという利点があり、成功モデルを容易に導入できます。

ロイヤリティの問題点

高級食パン専門店が直面する主な問題は、高いロイヤリティが原因です。

フランチャイズで店舗を開業する際には、店舗の設備や機材、販売用の備品を整える必要があります。

店を開けると、売上の10%を本部へのロイヤリティとして支払う羽目になります。

この高額な開業費とロイヤリティが、加盟店の負担となり、赤字が膨らむケースも少なくありません。

文春オンラインは、乃が美のフランチャイズがロイヤリティの引き下げを求めていると報じています。

フランチャイズ加盟店の破綻

加盟店が倒産すると、その結果として店舗数が減少し、本部へのロイヤリティ支払いも減少します。

高級食パン専門店のフランチャイズオーナーは、ロイヤリティ支払いにより赤字に転落することがあります。

本部へのロイヤリティ引き下げの要求が却下されるケースもあります。

フランチャイズ制度により、全国展開と収益向上が可能でありながら、その圧力が閉店を加速させる要因ともなっています。

高級食パン専門店「乃が美」の課題

乃が美のロイヤリティは売上の10%に設定されています。

フランチャイズオーナーからは、このロイヤリティが高額であるために経営困難を訴える声が上がっています。

月に300万円の売上があると仮定すると、30万円がロイヤリティとして支払われ、残りの270万円で店舗の維持やその他の経費を賄います。

【まとめ】乃が美の閉店増加の背景

今回は、高級食パン専門店が直面する閉店増加の原因を探りました。

価格の高さ、専門店の乱立、味に対する飽きが原因と見られますが、フランチャイズ制度の影響が最も大きいことが明らかになりました。

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